2013年9月24日火曜日

食べ物を変えれば脳が変わる

著者:生田哲

本文より

アミノ酸は抗うつ薬と同じほどの効果がある

 アミノ酸のような栄養素は薬と同じくらいの効果があるが、大量に摂取したケースを除き、副作用は無い。それは、栄養素の活用が脳と身体における自然のしくみにのっとっているからである。
 したがって、あなたの脳のはたらきを最適化するには、まず食事でアミノ酸を十分に摂取することが先決である。それには、アミノ酸の素、タンパク質を食べるに越したことはない。
 脂肪と異なり、アミノ酸は身体に蓄えることができないので、ほぼ毎日、タンパク質を摂らねばならない。その量だが、戦争や飢饉の経験、それから実験室での多くの研究から、成人は体重1キログラムあたり毎日1グラムのタンパク質を摂らねばならないことが判明している。これは成人女性なら一日に50グラム、成人男性なら約60グラムに相当する。
 必須アミノ酸を脳に供給するには、これらをふんだんに含んだ良質なタンパク質を摂るに限る。良質なタンパク質は、肉(トリ、ブタ、ウシ)、魚介類、トウモロコシ、豆腐、豆類(納豆、金時)、牛乳、チーズなどの乳製品に多く含まれている。また、米は糖類の固まりと思われているが、意外にも、含まれる総エネルギーの8パーセントをタンパク質が占める。
 必須アミノ酸を摂るベストの方法は、肉類を食べることだが、エネルギーの摂り過ぎはできるだけ抑えたい。それには、脂肪分の少ないタンパク質を選ぶのがよい。低脂肪タンパク質の代表は、魚介類、鶏肉、シチメンチョウ、脂の少ない赤身の肉(ブタ、ウシ、ヒツジ)などである。
 ここで注意すべき点は、動物由来のすべてのタンパク質食品には、アラキドン酸が多いことである。アラキドン酸はインスリンの効き目が落ちるインスリン抵抗性の引き金となる炎症を起こす。しかも食品に含まれるアラキドン酸、タンパク質食品の脂肪分に比例して増えるから、脂肪分の少ないタンパク質を摂取するのがポイントとなる。

「頭のよさ」は遺伝子で決まる!?

著者:石浦章一

本文より

頭がいい人ほど脳を効率よく使っている
 頭の処理スピードが速いというと、脳のシナプスのつながりが速いのではないかと思われるかもしれません。しかし、少なくとも脳の電気が伝わる速さは、頭が良い人も悪い人も、ほとんど同じです。
 面白いことに、頭を要領よく使っている頭のいい人の脳は、じつはあまり動いてないのです。逆に頭の悪い人が何か作業をしていると、いろいろな部位が動いています。IQの高い人と低い人にいろいろな作業をさせて調べたところ、IQの高い人のほうが一般に血流量が少ないことがわかったのです。これは神経回路が速く回っているのではなく、神経回路のつながりに無駄がなく、記憶の形成や引き出しが効率よく行われているということです。また、IQの高い人は刺激への反応時間が短いという結果も出ています。
 つまり、頭がいい人、要領が良い人は、脳内の回路を省略化して最短距離で使っているといえます。
 同じ作業をしても、頭の良い人のほうが脳をあまり使っていないのですね。だから頭が疲れないともいえます。逆に頭の悪い人は、同じ作業に脳をたくさん使いますから、すぐに疲れます。頭の悪い人ほど、脳を無駄に使っているのです。
 とはいえ、あきらめないでください。脳は学習しますから、はじめは無駄に使っていても、練習を重ねることで効率よく働くようになります。
 学習とは結局、脳をどのように効率よく動かすかを学ぶことです。たとえば迷路学習でも、最初は寄り道をしてしまって時間を無駄にします。そのとき、脳は一生懸命に動いているわけです。ところが何度か繰り返し練習して最短距離を覚えれば、寄り道せずに目的地にたどりつけますから、脳の使用時間も短くなるのです。
 記憶にしても、はじめは脳はいろいろなことを覚えているのですが、一晩眠っているうちに、無駄なものは記憶の奥底に仕舞われて忘れられ、大事なものだけが残ります。それは、脳が自動的に省略化しているということかもしれない。
 何事も初体験ではうまくいきませんから、いろいろ試行錯誤するため脳も負担が大きいのです。それが経験を重ねて「こうすればうまくいく」とわかると、その後は同じ道筋をたどれば脳が効率よくはたらくようになるのです。
 くりかえしますが、ものごとを要領よくうまくこなせるようになるということを脳レベルで考えると、脳が回路の最短距離を覚えて省略化するようになることを指します。ですから練習すればするほど、脳は効率よくはたらくようになり、疲れなくなり、思考スピードが速くなって処理速度が上がることになります。
 そう考えれば、計算だって練習をすればするほど速くなります。そして創造性を発揮するためには、基礎的な知識を身につけ、いろいろな工夫をする体験を積み重ねることが、最終的には大切なのですね。


2013年9月19日木曜日

成功する人は缶コーヒーを飲まない

著者:姫野友美

目次から
・缶コーヒーで社員が居眠りする?
・会社に行けない理由は砂糖だった
・不機嫌な職場は食べ物が原因?!
・肉を食べれば頭の回転が速くなる
・チョコを食べると疲労感が増す
・集中力の低下はビタミンB群不足
・外食、コンビニ食の正しい選び方
・「若ハゲ」は栄養失調が原因
・タバコと缶コーヒーは老化を早める

本文より

缶コーヒーで社員が居眠りする?
 ビジネスマンは缶コーヒーが大好きである。出勤途中に駅で飲み、仕事中はデスクのパソコンの横におき、会議中や残業時にまた缶コーヒーを買う。
 コーヒーを飲んでいるにもかかわらず、しかもまだ午前中だというのに、頭がぼんやりするという不思議な経験をしていないだろうか?
 コーヒーに含まれるカフェインには交感神経を刺激する覚醒作用があるため、眠気を覚ましたり、倦怠感を取り除き集中力をアップさせたりする働きがある。しかし缶コーヒーではその効果は持続性がなく、一瞬で終わってしまう。それはなぜか。理由は砂糖が多く含まれているからだ。
 缶コーヒーに含まれている原材料表示をよく見てほしい。無糖や砂糖不使用の缶コーヒー以外のほとんどの商品には砂糖が入っている。通常原材料表示は含まれている量の多い順に書いてあるのだが、その表示は「コーヒー、牛乳、砂糖」または「牛乳、砂糖、コーヒー」という順番がほとんどで、いかにたくさんの砂糖が入っているかがわかる。「微糖」「甘さすっきり」という表示にだまされてはいけない。
 実は砂糖こそ、眠気を誘う犯人だ。
 砂糖は体に吸収されやすい糖質のため、血糖値が一気に上がる。急速に血糖値が上がると体はそれを下げるために膵臓からインスリンというホルモンを出すが、今度は血糖値が下がりすぎてしまう。本来血糖値はゆっくり上がってゆっくり下がるようになっているが砂糖によって一気に上がって一気に下がるという、不安定きわまりない状態に陥ってしまう。
 血糖値が下がるということは、脳にエネルギー源のひとつであるブドウ糖が供給されないということを示している。この血糖値が下がるときこそ、吸い込まれるような眠気に教われる瞬間だ。眠気、だるさ、集中力の低下を回避するために缶コーヒーを飲んだはずなのに、一瞬だけ元気になるがその後かえって強い眠気がやってくるという、理不尽きわまりない目に遭ってしまうのだ。これは低血糖症という症状の表れで、うつ病やパニック障害も、これが大きな要因となっている。



2013年9月14日土曜日

本番に強い人、弱い人

著者:本田有明

本文より

「本番に強い人」はどこが違うのか
 野球に「ブルペンエース」という言葉がある。試合前のブルペンで投球練習をしているときには目を見張るようなすばらしい球を投げる。が、いざ本番となるとからきしダメで、あれよあれよという間に打込まれノックアウト。「ブルペンではよかったのに」と仲間を嘆かせる、そんな投手のことだ。
 練習ではいかんなく実力を発揮するのに、本番では弱い人、この本をタイトルを見て思わず手がのびた読者の中にも、身に覚えのある方がいらっしゃるのではないか。
 逆に、ブルペンではヘナチョコな球しか投げられないのに、試合になると快刀乱麻のピッチングを披露して周囲を驚かす人もいる。
 「こら、練習のときも真面目にやれ!」とコーチに叱られそうだが、本人は別に力を出し惜しみしているわけではない。本番になると自然にシャキッとして、集中力がみなぎる。彼はそういうタイプなのだ。
 では、どうすればブルペンエースがひと皮むけて、本物のエースになれるのか。
 ただ一生懸命に努力すればよい、というわけではなさそうだ。「オレはエースだ」と自己暗示をかければなんとかなる、というわけでもないだろう。
 このいわく言い難い微妙な勘どころを、現実のさまざまな本番、まさにここ一番のシーンで検証してみること。それが本書のテーマである。

2013年9月11日水曜日

口説きの技術

著者:山路徹

抜粋

女性の前で持論を展開するのはNG!

 どんな言葉を使えば女性を口説けるかと考えるのは本当に意味がないことです。
 そんなつまらないことで頭を悩ませている人は、まずそういう考えを捨てて、相手の話をよく聞く姿勢を持つようにするのがいいでしょう。
 また、どんな相手に対してでもそうですが、異性に対してはとくに、滔々と持論を展開するようなことはNGです。
 それによって、この人はしっかりとした自分の考え方を持っていると思わせたいのでしょうが、実際にはなかなかそうは受け取ってもらえません。
 持論はあくまで持論でしかなく、ほとんどの場合、相手の持論を聞かされることなどは求めていないものです。
 大人の気遣いとして関心がある素振りを見せて聞いてくれる人もいるはずですが、それも表面上だけのことです。そのことにも気がついていなければ、本当の独りよがりになってしまいます。
 会社の中でいえば、何かにつけて上司が「俺たちの若い頃はそんなふうではなかったんだ」「俺たちは今よりずっと大変な時代を生きてきたんだ」といった話を始めて、部下を困らせるというお決まりのパターンがあります。異性と二人で過ごしている時間の中で、それと変わらないことをやってしまっていることになるのです。
 日本人はまじめで勤勉なうえ、心配性であるため、何事に対しても予習復習を欠かさない姿勢を持っていて、事前の準備を怠らないようにする発想が強いところがあります。そのこと自体は、素晴らしいことだと思います。
 しかし、人とのコミュニケーションは予習できるものではないのです。
 

2013年9月7日土曜日

20代にしておきたい17のこと


著者:本田健

本文より

第5章 死ぬほどの恋をする。

・パートナーのイメージを持つ
 将来のパートナーのイメージを持っておくことも大切です。
 自分のパートナーには、どういう人がいいのか。
「こういう男性がいい」「こういう女性がいい」というイメージがないと、出会う人がみんなよく見えたり、逆に、みんな違うと思ったりということがあります。
 いちばん避けたいのは。「ちょっと違うんだけどなあ」と思いながらも結婚してしまい、あとで「どうして、こんなやつと結婚してしまったのか」と後悔することです。ちなみに、驚くほど多くの人がそういう結婚をしています。
 愛せる人に出会うには、行動範囲を拡げることです。
 これは、ライフワークでも同じことで、要はマーケティングなんです。
 たとえば、自分が理想とする相手なら、どこでごはんを食べるだろう? どこに遊びにいくだろう? どういう人たちと一緒にいるだろう? ということを考えて、そういった人が集まっていそうなところに行けばいいのです。

 自分が好きになるような女性は、料理を学んだり、ワインの会や美術鑑賞会に出ているだろうなと思ったら、料理の教室や美術館主催のイベントに行ってみたり、あるいはお菓子作りの会に行ってみるのです。そういうふうにすると、料理が好きだとか、料理に興味のある女性に出会えるはずです。
 男性に理知的なものを求める人は、読書会や、誰か作家の講演会などに行くのもいいかもしれません。知的好奇心旺盛な男性は、そういうところにいるはずなのです。
 スポーツが好きな人が良ければ、山登りのサークルに入ってみる、テニスのスクールやサークルに入るのもいいでしょう。
 そうしているうちに、こんどは、そんな自分の理想の相手に相応しい自分になりたいと思うようになります。
 恋をするというのは、全てのモチベーションの源になります。
 自分がモテたい、こういう人に愛されるようになりたいと思う気持ちが、モチベーションにもなっていくのです。

 「死ぬほどの恋」は、いまはまだ架空でもいいのです。
 きっとこういう人が私を好きになってくれるだろう、こういう将来が待っているだろうと思って、それのための準備をしておけば恋は自然についてくるのではないでしょうか。


この世でいちばん大事な「カネ」の話

著者:西原理恵子

本文抜粋

 お金がないことが人をどれほど追い詰めて、ボロボロにするのか。そのあらゆるパターンを、わたしは見たと思う。
 かなしいことほど、いつまでも覚えているのはなぜなんだろうね。かなしくても、わたしにとってはぜんぶ、忘れられない、大切な思い出だけど。 

 私が育ったのは、高知県の浦戸っていう、漁師町だった。
 生まれて初めて触ったお金には、魚のウロコや血がついていたのを覚えている。漁師さんたちは漁にでて、水揚げした魚を触ったその手でお金のやりとりをする。荒っぽいから稼いだお金をいちいち財布にしまったりなんかしない。素手でポッケにねじこんじゃう。だから、この町を回ってるお金からは魚の匂いがした。

 わたしはこの町で生まれて、6歳まで暮らした。
 お母さんが離婚して、わたしのお兄ちゃんを連れて、実家のある浦戸に戻ってきたの。
このとき、わたしはまだお母さんのお腹の中にいたんだよ。これから赤ちゃんが生まれようとしているのに離婚したんだから、よっぽどのこと。
 わたしと血のつながったお父さんは、お酒を飲むと手がつけられないほど暴れたらしい。お母さんは子供たちを守るために離婚して、自分が生まれた町に帰ってきた。お父さんはアルコール依存症で、私が3歳のときにドブにはまって死んだ。だから私には血のつながったお父さんの記憶がない。
 でも寂しくはなかった。


 

タイトル一覧

・「頭のよさ」は遺伝子で決まる!?
生きる悪知恵
「イヤなことがなかなか忘れられない人」のための本 
金持ち父さん、貧乏父さん
・空腹が人を健康にする
口説きの技術
心を整える
・50歳を超えても30代に見える生き方
この世でいちばん大事な「カネ」の話
思考の整理学
下町ロケット
自分の中に毒を持て
成功する人は缶コーヒーを飲まない
「全身の疲れ」がスッキリ取れる本 
・食べ物を変えれば脳が変わる
誰とでも 15分以上 会話がとぎれない!話し方 66のルール 
伝える力
20代にしておきたい17のこと
脳が冴える15の習慣 
本番に強い脳と心のつくり方 スポーツで頭がよくなる
本番に強い人、弱い人
無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法
レバリッジ・リーディング 

生きる悪知恵

著者:西原理恵子

本文より抜粋

70社受けてもダメ。出口の見えない就活に疲れ果てました。

 30〜40社落ちるのは、ザラなんだよね。しかも、会社がどこで差別化して採用、不採用を決めてるかもわからないし、やってられない気持ちになるよね。
 でもさあ、私も東京出てきたときにバイトの面接はいろいろ受けたけど、もともといいとこ行かないから。すごい条件のいい銀座のクラブとか死んでも行かない。炉端焼きの皿洗いとか、絶対大丈夫そうなところを探して行く。そういうふうに、ココだったら大丈夫ってところまで落とす必要はあると思う。
 あなたはきっと、すごい良い会社ばっかり受けてるんじゃないのかな。一流と呼ばれる大学って言ったって、世の中にはもっと一流の大学があってさ、東大だけで毎年3000人卒業してて、早稲田や慶応もいて、それに海外帰国組の英語やら何やらペラペラの人達がいて、あと親のコネ組なんかもいるでしょう。そういう人たちが全部いいとこの就職先を取っちゃうから、ちょっといい大学ぐらいじゃ無理だよね。
 だって、たとえば小学館とか講談社なんか、早稲田の人ばっかり受けに来るんだよ。それで、1000人に1人とかしか受からないって、精子かっつーの! そうなってくると、もう運だよね。面接する人の好みにもよるし、オタク雑誌の編集が面接担当だったら、優秀な人より変なオタクのほうが採用されたりとかってこともあるし。
 70社って言っても給料のいい順とか有名な順に上から受けてたら、それはダメだよね。私だったら下から攻める。明日のおまんまのほうが大事だから。あなたは、明日のご飯の心配しないのかな? 私だったら、これだけ落ちたらもう皿洗いでも夜の商売でも、怪しい「幹部候補生募集」みたいなやつでも何でもやるけどね。
 なんかやっぱり世間では一流と呼ばれる部類に入る私大の学生なんて言ってる時点でダメだと思うよ。世間にはもっとすごいのがいっぱいいるし、女子なんて美人で筆記満点で資格持ってて英語できて・・・って麻雀でいうところの満貫でも落とされるんだから。そこで勝負できない自分をまず把握するべきだと思う。一流大学を外したときに、自分に何が残るかってことだよね。
 そこで普通の学生とか言ってたら始まらない。小さい会社でも地方の会社でも、おまんま食わせてくれるところに行けばいいじゃん。一流の大学に入れる頭があるんだったら、どこでもいいから入ってノウハウ身につけて、それから独立しちゃえばいい。
 私の知り合いの編集者でも、編プロのアルバイトから入って大手の社員になった人とかいるからね。たまたまインド取材のときに知り合った女の子なんかも、そのときは学生だったけど、最終的にはいいとこ入ってるんだよ。ちゃんと単行本の企画を出して10万部とか売って、それをお土産に大手の面接に行くから、中途で採ってくれるの。女子にはそういう中途の人、すごい多い。みんなそうやって横から入ってる。私だってエロ本からの横入りだし。大事ですよ、横入り。
 だから、あなたにも横入りって知ってる?と言いたい。正規では本当にいくら才能があってもなかなか採ってくれない場合があるからさ。あんまりマニュアル的に考えるんじゃなくて、それ以外の方法もあるってことを考えてみて。
 どっこも採ってくれないのは逆にチャンス。やりたいことをやればいいんだから。まさか22年も生きてて、何もないなんてことないよねえ?

2013年9月6日金曜日

本番に強い脳と心のつくり方 スポーツで頭がよくなる

著者:苫米地英人

本文:144ページより

なぜ成功体験を積むことが重要なのか?

 セロトニンやドーパミン、アドレナリンなどの神経伝達物質や内分泌物質が、スポーツのパフォーマンスの良し悪しに深く関係していることはすでにお話ししました。
 なかでも、パフォーマンスを向上させるうえでポイントとなる物質が、セロトニンとドーパミンです。これら二つの神経伝達物質によって、本番直後の理想的な状態をつくりだすことが、次のパフォーマンスをさらに高めることにつながります。
 セロトニンは、基本的にはアドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどの興奮系物質を抑制する役割があり、交感神経優位の緊張状態時にアドレナリンやノルアドレナリンが多く分泌されるほど、それを抑制するために大量に放出されます。
 ほかにもセロトニンにはメラトニンの前駆物質としての役割があります。セロトニンからメラトニンが合成され、それが睡眠を誘発するのです。
 本番直後の副交感神経優位の状態でセロトニンが分泌されるのも、その前段階でアドレナリンやノルアドレナリンが分泌されているからです。交感神経優位が極度の緊張から解放されて、「やったー!」というリラックス状態に変わると、副交感神経が優位になってセロトニンが大量に出ます。
 ただし、セロトニンは脳内の前頭前野にはあまり作用しないため、セロトニンが大量に分泌されても、前頭前野にはドーパミンがしばらく流れたまま興奮状態が続いている場合があります。じつは、これがもっともハッピーな恍惚状態なのです。
 その後、脳と体はさらにリラックスして副交感神経の優位がさらに強まり、前頭前野へのドーパミンの流出は止まります。そしてセロトニンはメラトニンへと変容し、「腹が減ったなあ」「眠いなあ」という深いリラックスが訪れます。
 さて、大切なのは深いリラックス状態になる直前、セロトニンが出はじめて全身に幸福感が広がりつつあるけれども、いまだドーパミンも前頭前野に残っていて興奮も完全には冷めやらない状態。このセロトニン&ドーパミン状態を何度も経験することで、強い「プライミング」が形成されます。
 プライミングとは、先に受けた刺激によって、後続する刺激に対する認知や判断が影響を受け、特定の行動が促進または抑制されることを指します。つまり、先行刺激をコントロールすることができれば、あとに続く行動もコントロールできるようになります。一種の洗脳の技術です。
 物事を上達させるには「成功体験が大事」と言われる理由がここにあります。目標を達成して「やったー!」と喜ぶ体験を積み重ねると、セロトニン&ドーパミン状態のプライミングがつくられ、次に本番を迎えたときには、さらに大量のセロトニンやドーパミン、アドレナリンが放出されて、より落差の大きなリラックス・緊張のサイクルを生み出すことができるようになり、結果としてパフォーマンスも向上するのです。
 ですから逆にいえば、目標を達成した経験がないとセロトニン&ドーパミン状態のプライミングをつくることができないため、体内物質の分泌量を増えず、リラックスと緊張の大きな落差が生まれません。よってパフォーマンスは上がっていかないのです。
 プレーヤーとして成長するためには、とにかくゴールを達成して、セロトニン&ドーパミンが大量に分泌された、より強い幸福感を何度も経験することが重要なのです。